前回の記事では毎月通い続けた譲渡会で、ついにレオを家族として迎えたいと言ってくださるご家族と出会えたところまでをお話ししました。
今回はレオを新しい家族のもとへお届けした日とその後に届いた嬉しいご報告についてお話しします。
娘からの「泣かないでね」
譲渡会へ参加する前に、健康診断やワクチン接種、去勢手術はすべて終えていたため、お届けの日は翌週の週末に決まりました。
いつもレオの治療でお世話になっていた動物病院の先生へご報告すると
「レオくん、やったな! このまま風さんのお家の子になると思ってたのに。
風さんもレオくんも本当に頑張ったね」
と、笑顔で喜んでくださいました。
里親さんも、お迎えの日に向けて着々と準備を進めてくださっていました。
「今食べているフードは何ですか?」
「お気に入りのおもちゃはありますか?」
そんな一つひとつの質問からも、レオを大切に迎えようとしてくださっている気持ちが伝わり
とてもありがたく思いました。
そして、お届け当日の朝。
家を出る直前、娘が私に真剣な表情で聞きました。
「ママ、本当に大丈夫? 泣かない?」
レオを送り出すその瞬間、私が泣いてしまうのではないかと心配してくれていたのです。
以前、私がお渡しの際にあまりにも泣いてしまい、娘に叱られたことがあるのです。
「大丈夫。レオの幸せの門出だから、ちゃんと笑顔で送り出すよ。」
そう約束して、私は家を出ました。
安心して暮らせる新しいお家
到着したお家にはレオが安心して暮らせるよう、しっかりと脱走防止対策が整えられていました。
窓には網戸ロックや脱走防止柵が設置され、玄関にも新たに柵を取り付ける予定とのことでした。
新しい爪とぎや猫ベッドまで用意されていて
「レオ、本当によかったね。」
そう思わず声を掛けたくなるようなお家でした。
キャリーから出たレオは、すぐに部屋の中を興味深そうに歩き始めました。
緊張して動けなくなる様子もなく、一つひとつ確認するように新しいお家を探検しています。
その姿を見て安心することができました。
「それでは、一週間後の正式譲渡の日にまた伺います。レオをよろしくお願いします。」
そうご挨拶をして家を後にしました。
車に乗り、一人になった瞬間。
笑顔で送り出すと約束していた気持ちがほどけ、我慢していた涙が一気にあふれてきました。
レオと過ごした5か月間は、楽しいことよりも、心配したり悩んだりすることの方が多い時間でした。
それでも疥癬が治ってからのレオは、少しずつ普通の家猫らしい姿を見せるようになりました。
ご飯を少し残してみたり、おもちゃを壊してみたり、甘えたいときには遠慮なく甘えてきたり。
安心して暮らせるようになったからこそ、そんな小さなわがままも覚えていったのでしょう。
その一つひとつが、たまらなく愛しく感じられました。
もう同じ家で一緒に暮らすことはないのだと思うと、涙が止まりませんでした。
それでも、レオの前では泣きませんでした。
今日は悲しい別れの日ではなく、レオが幸せな暮らしへ踏み出す日だったからです。
翌日に届いた一枚の写真
その日の夜、新しいお母さんからメールが届きました。
最初は私がいなくなったことに気付いて鳴いていたそうですが、優しく抱っこしてもらい、おやつを食べたら落ち着いたとのことでした。
「甘えん坊で食いしん坊なレオらしいな。」
そう思わず笑ってしまいました。
そして翌日。
送られてきた一枚の写真を見て、私はまた笑顔になりました。
そこには、まるで「僕、ずっと前からこの家の子ですよ。」と言っているような表情で、気持ちよさそうに寝転がるレオの姿が写っていたのです。
ご飯もしっかり食べ、夜はお母さんのベッドで眠り、お父さんのそばで安心して過ごしているとのことでした。
私が心配していたことは、どうやらレオには必要なかったようです。
改めて、人が大好きで環境への順応も早いレオらしさを感じました。

「リク」という新しい名前
一週間後。
正式譲渡のため、もう一度ご自宅を訪れました。
そこには、新しい名前をもらったレオがいました。
名前は「リク」
私の姿を見つけると、まっすぐ近寄ってきて
「にゃーん」
と優しく鳴きながら、足元へスリスリしてくれました。
私には「今までありがとう」と伝えてくれているように感じられました。
「こちらこそ、ありがとう。君に出会えて良かったよ」
そう心の中で伝えながら、私はリクの頭をそっとなでました。

レオが教えてくれたこと
疥癬でボロボロの姿で我が家の庭へ現れた一匹のキジトラ猫。
あの日、勇気を出して保護した命は「レオ」という名前でたくさんの人に愛され、そして新しい家族のもとで「リク」として新しい人生を歩み始めました。
猫エイズキャリアというだけで、その子の未来が決まるわけではありません。
正しい知識を持ち、その子自身を見てくださる方と出会えればレオのように幸せな毎日を送ることができるのだと証明出来ました。
正式譲渡から数年たった今でも、里親さんは時々写真や近況を送ってくださっています。
幸せそうなリクの姿を見るたびに「あの日、勇気を出して保護して本当によかった。諦めなくて良かった」と心から思います。
レオとの物語はここで一区切りですが、リクとしての新しい幸せな毎日は今も続いています。
🐾 レオ保護シリーズ
疥癬(かいせん)で全身がかさぶただらけだった野良猫「レオ」。 保護から治療、猫エイズ陽性という現実、譲渡会、そして新しい家族との出会いまで――。 レオが幸せをつかむまでの記録を時系列でまとめました。


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