【保護猫の記録】猫エイズのレオに家族ができた日

外を眺める猫エイズのレオ 保護猫活動

前回の記事では毎月譲渡会へ通い続ける中で、レオが少しずつ会場にも慣れ、多くの方から「かわいいね」「いい子だね」と声を掛けてもらえるようになったところまでをお話ししました。

それでも新しい家族とのご縁はなかなか結ばれず、気が付けば5か月が過ぎようとしていました。

今回は、レオに訪れた忘れることのできない出会いについてお話しします。

もう一つの選択肢

なかなか里親さんが決まらないレオを見て一緒に譲渡会へ参加していた保護活動の方から、こんなお話をいただきました。

「猫エイズキャリアの子だけを受け入れている猫カフェがあるよ。レオは人懐っこいから、きっとそこで暮らしていくこともできると思う。一つの選択肢として考えてみてもいいかもしれないね。」

毎月の譲渡会への参加は、私やレオにとっても決して楽なものではありません。

車での移動、慣れない会場、多くの人との出会い。

そのたびに大きなストレスを感じているかもしれないと思うと「もし今回もご縁がなかったら、この選択もレオのためになるのかもしれない」と。

それでも、どうしても諦めきれない思いもあります。

レオには、たくさんの猫たちの中の一匹としてではなく、この子だけを大切に愛してくれる家族と暮らしてほしい。

何がレオにとって一番幸せな選択なのか、私は深く悩んでしまいました。

ご飯のおかわりをねだるレオ

抱っこさせてもらえますか?

そうして迎えた譲渡会の日。
レオは以前のような大きな緊張もなく、落ち着いた様子で来場された方を見つめていました。

そこへ一組のご家族が立ち寄られました。
その中の男の子が、少し照れながら私に声を掛けてくれました。

「抱っこさせてもらってもいいですか?」

「もちろんですよ」

私は椅子に座ってもらい、そっとレオを男の子の膝へ乗せました。

「うわぁ、大きいね!」

「毛がふわふわで柔らかい!」

「かわいい!」

男の子はとても嬉しそうに笑い、お父さんも優しくレオを抱っこしてくださいました。

その間、譲渡会のスタッフさんが猫エイズについて丁寧に説明してくださいました。

「猫エイズキャリアだからといって、すぐに病気になるわけではありません。完全室内飼育でストレスを少なく生活できれば、発症せずに天寿を全うする子もたくさんいます。」

私は、保護した当時の写真もお見せしました。

疥癬で皮膚がボロボロになり、うずくまっていた頃のレオです。

痩せて毛並みもボロボロだった頃のレオ

写真を見たご家族は

「レオくん、本当によく頑張ったんですね。」

と優しく声を掛けてくださいました。

一方で、お母さんは隣のブースにいる子猫たちも見ていらっしゃいました。

そりゃあそうですよ。子猫たち、めちゃくちゃ可愛いですもの。

子猫は可愛いし、人気があります。猫エイズキャリアの成猫を迎えることに不安を感じる方がいても、不思議ではありません。

私はレオに「抱っこしてもらえて良かったね」と声をかけながら

「ありがとうございました」

抱っこしてくれた方にお礼を伝え、レオをケージへ戻しました。

30分後に戻ってきたご家族

それから30分ほど経った頃でした。

先ほどのご家族が、再びレオの前へ戻って来られたのです。

そして、お父さんが私にこうおっしゃいました。

「レオ君を、うちの子として迎えたいのですが」

その言葉を聞いた瞬間、信じられませんでした。
「本当に良いのですか?」と聞くと
「レオ君が良いんです、家族全員の意見が一致しました。」

5か月間、毎月譲渡会へ通い続けた時間。
何度も迷い、それでも諦めずに続けてきた時間。

そのすべてが報われたような気持ちでした。
保護した日の痛々しい姿、しだいに元気を取り戻し、頑張ったレオの今までの時間を思い出して
気付けば涙があふれていました。

私に抱っこされて甘えるレオ

レオが引き寄せたご縁

周りにいた保護主さんやスタッフさんたちも、自分のことのように喜んでくださいました。

「風さんが毎月諦めずに通い続けたからこそ、このご縁につながったんだね。」

それは違います。レオが頑張っている姿をみていたので私も頑張れたのです。

人懐っこく、人が大好きで、誰にでも優しく甘えるレオ。

5か月かけて譲渡会に慣れ、本来の穏やかな性格を見せられるようになったレオ自身が、このご家族の心を動かしたのだと思います。
抱っこされたときにレオはジーッと男の子とお父さんの目を見つめていました。
もしかしたらレオには分かっていたのかもしれません。この人たちが僕の家族になる人だと。

ボロボロの体で我が家の庭に現れた一匹のキジトラ猫。

あの日、勇気を出して保護した命は「レオ」という名前をもらい、たくさんの人に愛され、そして本当に大切にしてくれる家族と出会うことができました。

猫エイズキャリアというだけで、その子の未来が決まるわけではありません。

正しい知識を持ち、その子自身を見てくださる方と出会えれば、レオのように幸せな毎日を送ることができます。

次回は、新しい家族のもとで暮らし始めたレオの様子と譲渡後にいただいた嬉しいご報告についてお話ししたいと思います。

🐾 レオ保護シリーズ

疥癬(かいせん)で全身がかさぶただらけだった野良猫「レオ」。 保護から治療、猫エイズ陽性という現実、譲渡会、そして新しい家族との出会いまで――。
レオが幸せをつかむまでの記録を時系列でまとめました。

  1. 疥癬(かいせん)のキジトラ猫を保護|重度の皮膚病と初めての隔離生活
  2. 疥癬猫の闘病記|初めてのシャンプーと少しずつ剥がれていくかさぶた
  3. 疥癬完治で考えたこの子の幸せ|猫エイズ陽性でも諦めない
  4. 猫エイズキャリア「レオ」初めての譲渡会
  5. 猫エイズのレオに家族ができた日
  6. レオ、新しい家族のもとへ

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