チビちゃんを見送ってから、1年が過ぎようとしていました。
悲しみが完全に消えることはありませんでしたが、里親さんたちから届く兄弟猫たちの近況報告が少しずつ私の心を支えてくれていました。
写真の中で大きく成長していく姿を見るたびに「あの時、頑張ってよかった」と思えたのです。
そんなある日のことでした。
再び現れた小さな命たち
会社で仕事をしていると、警備員さんから「ちょっと来てほしい」と連絡がありました。
現場へ向かうと、そこには小さな子猫たちが身を寄せ合うように固まっていました。
しかも5匹。
まだ目も開ききっていない、生後間もない子猫たちでした。
その姿を見た瞬間、私はデジャブかと思いました。あれ?見覚えがあるぞ?
毛柄や雰囲気が、去年保護した子たちによく似ていたのです。
「きっと同じお母さん猫の子たちなのかな」
そんなことを考えながら、私は小さな体をそっと抱き上げました。
「おかえりなさい」という感覚
警備員さんからは「風さんに言えば何とかしてくれると思って」と言われました。
少し複雑な気持ちもありましたが、目の前にいる小さな命を見てしまった以上
放っておくことはできません。
警備員さんと「また子猫ですね」「おかえりなさい、って感じですね」と苦笑いしながら話したのを覚えています。
その時は「おかえりなさい」の言葉に深い意味なんてまったくありませんでした。

1年ぶりの子猫育児
病院で診てもらうと、子猫たちは去年の子たちと同じくらいの「生後2〜3日」と言われました。
手のひらに乗る小さな体。
ミューミューと鳴く声。
ふわふわの毛並みと、子猫特有の匂い。
その感覚に触れた瞬間、1年前の記憶が一気によみがえってきました。
「また寝不足の日々が始まるぞ」
そう覚悟しながらも、不思議と気持ちは前向きでした。
前回は何も分からず、毎日が手探り状態でした。
けれど今回は違います。
シリンジでの授乳
保温の方法
体重管理
排泄のサポート
チビちゃんたちと過ごした72日間で学んだことが、今度は私を支えてくれていました。
5匹それぞれの個性
去年は3匹でしたが、今回は5匹。
賑やかさも大変さも一気に増えました。
それでも、よく観察していると一匹一匹にちゃんと個性があります。
ミルクを飲むのが上手な子。
甘えん坊な子。
鳴き声が大きい子。
いつも兄弟にくっついている子。
そんな小さな違いを見つけながら、私は再びシリンジを手に取りました。
去年さんざん使ったシリンジと体重測定用のスケールに哺乳瓶、また役に立つ日が来るなんて。
チビちゃんたちとの72日間で経験したことは、確かに次の小さな命へと繋がっていました。
再び始まった子猫育児
こうして、私の生活は再び2時間おきの授乳を中心とした「子猫育児」になりました。
もちろん、今回も順調なことばかりではありません。去年の3匹から5匹。
当然ですが私は一人しかいませんし、私の手も2本しかありません。
忙しい!ミューミュー鳴く子たちの順番にお世話していきます。
体重が増えずに心配した日もあれば、ミルクを飲んでくれず焦った日もありました。
それでも前回の経験があったからこそ、「まずは落ち着いて様子を見よう」と思える場面も増えていた気がします。
チビちゃんが教えてくれたことは、確かに次の命へ繋がっていました。
そしてこの時の私は、まだ気づいていませんでした。
あの日の約束を思い出す出来事が、この先待っていることを――。
※この記事は実際の保護・飼育経験をもとに執筆しています。生後間もない子猫は体調が急変することがあります。異変を感じた場合は、早めに動物病院へ相談してください。
これまでの子猫育児の記録
今回の5匹との出会いには、1年前の小さな命たちとの経験が繋がっていました。



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