前回の記事では、5匹の子猫たちとの同時育児を乗り切るために作った授乳ルーティンや、保温の工夫についてお話ししました。
毎日2時間おきの授乳は大変でしたが、5匹は少しずつ体重を増やし、元気に成長していきました。
けれど、その道のりは決して順調なことばかりではありませんでした。
体調を崩して病院へ駆け込んだこともあれば、不安で眠れない夜を過ごしたこともあります。
そしてある日、私は1匹の子猫の足元に目を留めることになります。
その出来事は、1年前に旅立ったチビちゃんのことを思い出すきっかけになりました。
子猫の不調は命に関わる
5匹が成長していく中で、全員が何事もなく育ったわけではありませんでした。
おしっこの出が悪くなり病院へ走った子もいましたし、離乳食が始まった頃には、食べ過ぎからひどい下痢をしてしまう子もいました。
その時、先生から言われた言葉が今でも印象に残っています。
「子猫の下痢は命に関わることがあります。しっかり治していきましょう」
小さな体の子猫にとって、下痢による脱水はとても危険です。
治療のために2日間の絶食をしなければならない期間もありました。お腹を空かせて鳴く子猫たちを前に、ごはんをあげられない時間は本当に辛いものでした。
それでも元気になってほしい一心で、先生の指示を守りながら乗り越えていきました。
少しずつ生まれた心の余裕
離乳食が安定してくると、ようやく私の心にも余裕が生まれ始めました。
部屋に入ると、5匹が一斉にこちらへ向かってきます。
小さな体で一生懸命走りながら、
「ごはん!」
「抱っこ!」
と言っているような姿に、自然と笑顔になりました。
寝不足の日々は続いていましたが、その時間はとても幸せでした。
足元に見つけた小さな目印
そんなある日のことです。
いつものように子猫たちを抱き上げながら体の様子を見ていると、1匹の子の足に目が留まりました。
「あれ?」
ほんの小さな模様でした。
けれど、どこか見覚えがある気がしたのです。
私はスマートフォンの写真フォルダを開き、1年前の写真を探し始めました。
そして見つけたのが、チビちゃんの写真でした。

何枚も見比べながら確認すると、その子の足にある模様は、私の記憶の中にあったものとよく似ていました。

もちろん偶然かもしれません。
けれど、その時の私は何とも言えない不思議な気持ちになったのを覚えています。
忘れていた隠れ場所
その出来事のあとでした。
その子は部屋の中を歩き回り、本棚の近くへ向かいました。
そして、コンセントを通すために開いている小さな穴の中へ入っていったのです。
私は思わず息をのみました。
そこは、1年前のチビちゃんが大好きだった場所です。
穴の奥にクッションを置き、安心して眠れるようにしていました。
チビちゃんがいなくなって、そのことはすっかり忘れていたのです。
それなのに、その子は迷うことなく、その場所へ入っていきました。
私はしばらく言葉が出ませんでした。
足の模様だけなら偶然かもしれません。
けれど、その光景を見た時、確信にも似た嬉しさと驚きで胸がいっぱいになってしまいました。
私が感じたこと
1年前、チビちゃんを見送った時。
私は小さな体に向かって
「帰っておいでね」
そんな言葉をかけました。
もちろん、その言葉を本気で信じていたわけではありません。
けれど、この出来事を通して私は思いました。
命との出会いや別れには、理屈では説明できないこともあるのかもしれない、と。
同じ場所にある足の模様も、本棚の隠れ場所を知っていたのも、偶然なのかもしれません。
それでも私にとっては、チビちゃんのことを改めて思い出させてくれる、大切な出来事になりました。
私の元へ約束通りに戻ってきた子。
この子は迷うことなく私の子として残すことを決め、そして今も一緒に暮らしています。
他の子猫4匹は良いご縁に恵まれて新しい家族のもとへ行きました。
まとめ
5匹の育児は大変なことも多くありました。
けれど、その毎日の中で私はたくさんの幸せをもらいました。
1年前に必死で過ごした72日間は決して終わっていなかった。
私が保護して育てた小さな命は新しい家族のもとでこれからも続いていきます。
私は子猫を譲渡する際に子猫たちに言い聞かせる言葉があります。
いい?君たちは運良く私と出会って色々な方に助けられて成長したの。
その強運で新しい家族を幸せにする存在になるんだよ
きっと私の言いつけを守って家族を笑顔にしていることでしょう。
これからも、愛しいしっぽたちとの日々を大切に記録していきたいと思います。
※この記事は実際の保護・飼育経験に基づく個人の体験談です。子猫の体調不良(下痢や尿道炎など)の際は自己判断せず、必ず信頼できる獣医師の指示に従ってください。
これまでの子猫育児の記録
この出来事にたどり着くまでには、1年前の別れと、その後に出会った5匹の子猫たちとの日々がありました。



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