前回の記事では、生後3日の子猫たちの授乳や、母猫の代わりに行っていた保温やケアについてお話ししました。
兄弟たちは無事に新しい家族のもとへ旅立ち、私は一番小さかった「チビちゃん」を家族として迎える決意をしました。
そんな毎日の中で、少しずつ気になることが増えていったのです。
今思えば、それは小さな異変の始まりだったのかもしれません。

先住猫たちに囲まれた幸せな毎日
一人になったチビちゃんを、我が家の先住猫たちは驚くほど自然に受け入れてくれました。
小さな体なのに物怖じせず、お兄ちゃん猫やお姉ちゃん猫の後ろをついて歩く姿は、本当に元気いっぱいでした。
猫部屋を飛び出してリビングを探検したり、水入れをひっくり返したり、先住猫のしっぽにじゃれて怒られたり。
毎日が賑やかで、「小さいけれど元気な子だな」と思っていました。
遊んだ後に気づいた異変
そんなある日、激しく遊んだ後に眠っていたチビちゃんの様子が気になりました。
息遣いが少し荒く見えたのです。
さらによく見ると、舌の色がいつもと違うように感じました。
「何かおかしい」
そう思い、すぐにかかりつけの動物病院へ向かいました。
診察中、先生の表情が少し変わったことを今でも覚えています。
心臓から雑音が聞こえていたのです。
診断名は「動脈管開存症(PDA)」
診察の結果、告げられた病名は「動脈管開存症(PDA)」でした。
動脈管開存症(PDA)は、生まれた後に閉じるはずの血管が閉じないまま残ってしまう先天性疾患で血液の流れに異常が起きることで、心臓に大きな負担がかかってしまう疾患です。
先生からは、いくつか現実的なお話がありました。
- 体重がまだ1kg未満で手術が難しいこと
- 専門医療センターで精密検査が必要なこと
- 麻酔や移動にも負担がかかること
- 検査や治療には大きな費用負担が想定されること
いきなりの宣告、私にとって簡単に受け止められる内容ではありませんでした。
よく考えてくださいと言われ、帰宅しましたが、ご飯を食べ、走り回り、毎日を楽しそうに過ごしているチビちゃんを見ていると「できることはしてあげたい」という気持ちが大きくなっていきました。
諦めるなんて出来ない。
その日のうちに専門医療センターへの紹介と予約をお願いしました。
最後の一日
「なるべく安静に」
そう言われても、チビちゃんは相変わらず元気でした。
先住猫たちの後ろを追いかけ、ご飯に興味を示し、高い場所にも行きたがる。
いつもと変わらない毎日でした。
医療センターの予約を翌日に控えた日も、朝ご飯を食べ、私の膝に乗ってきました。
ただ、今思い返すと、いつもより甘えていたような気もします。

夕方、寝ていたチビちゃんが起き上がり、ふらふらと私に向かって歩きだしました。
ん?起きたの?と声をかけると突然パタリと倒れてしまいました。
チビちゃん!!名前を呼んでも反応がない。
急いで病院へ向かいましたが、チビちゃんの小さな体と心臓は限界だったようです。
小さな命が教えてくれたこと
精一杯に生きた小さな命。72日という時間は短かったかもしれません。
けれど私にとっては、命と向き合うことの大切さを教えてくれた濃い時間でした。
先生にも私が保護しなければここまで成長することもなかった命だったこと、
ここまで成長できたことは奇跡に近いものだと言われました。
私は動かなくなった小さな体に、そっと声をかけました。
「短い間だったけど楽しかったね。もし嫌じゃなければ、またお母ちゃんのところに戻っておいで。今度は丈夫な体でね。待ってるよ」
そして最後に、こんなことも付け加えました。
「そのときはお母ちゃんが分かるように目印をつけてきてね。そうじゃないと、お母ちゃん気づけないかもしれないから」
涙の中で交わした、何気ない約束のような言葉でした。
あの時は、その言葉が心のどこかに残り続けることになるなんて思ってもいませんでした。
次回は、この出来事から約1年後、新たに出会った小さな命たちについて綴りたいと思います。
※この記事は実際の保護・飼育経験をもとに執筆しています。動脈管開存症(PDA)の症状や進行には個体差があります。気になる症状がある場合は、早めに動物病院へ相談してください。
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今回のお話は、保護した子猫たちとの72日間の記録から続いています。



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