前回の記事では、我が家を卒業していった子猫たちの里親さんから届いた「幸せの便り」についてご紹介しました。
それまでの私は偶然出会った子猫を保護し、育てて里親さんへ託すという経験しかありませんでした。
自分から積極的に猫を探したり、いわゆる保護活動を熱心に行っていたわけではありません。
そんな私の前に、ある日突然、一匹の猫が姿を現しました。
その出会いが、後に私の人生の中でも忘れられない出来事へと繋がっていくことになります。
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私が初めて乳飲み子の育児を経験したのは、職場で保護した生後3日の子猫たちでした。 今回の母猫との出会いは、その経験から数年後の出来事です。
▶ 【生後3日の子猫を保護】72日間の育児で私が学んだ、小さな命と向き合うということ
門の外からこちらを見つめる猫
ある日のことでした。
我が家の門の外から、じっとこちらを見ている猫がいることに気付きました。
黒白のハチワレ模様の小柄な子です。
子猫ほど小さくはないものの、成猫としてはかなり華奢な体つきです。
怪我をしている様子はありませんでしたが、首輪もありません。
飼い猫なのか、それとも野良猫なのか。
私は少し離れた場所から、その子の様子を見守っていました。
しばらく見ているうちに、
「もしかしたら、お腹が空いているのかな」
と思い、門の近くにご飯を置いてみることにしました。
けれど、その子はすぐには近寄ってきません。
こちらを警戒するようにじっと見つめたまま動かないのです。
私は一度家の中へ入り、窓越しにそっと様子を見ることにしました。
すると、その子は周囲を何度も確認しながら、ご飯へ近付きました。
そして驚くほどの勢いで食べ始めたのです。
その姿を見た瞬間
「よほどお腹が空いていたんだね」
と胸が締め付けられるような気持ちになりました。
少しずつ縮まる距離
それから、そのハチワレ猫は毎日のように我が家へやって来るようになりました。
ご飯を置く。
私が家の中へ入る。
猫が食べる。
そんなやり取りが毎日繰り返されました。
まるでお互いの様子を探り合うような、不思議な関係でした。
1か月ほど経った頃でしょうか。
その子は私の姿を見ても、すぐに逃げなくなりました。
けれど近寄ってくることもありません。
逃げはしない。
でも触らせてもくれない。
そんな絶妙な距離感を保ちながら、毎日ご飯を食べに来ていました。
私の住む地域は昔から野良猫が多く、外を歩けば猫を見かけることも珍しくありません。
夜中には猫同士の喧嘩の声が聞こえることもありました。
そのたびに
「外の世界は大変なんだろうな」
と考えることがありました。
この子もきっと、そんな環境の中で一生懸命生きてきたのだろうと思ったのです。
今ならインターネットで調べれば、保護猫活動や地域猫活動について多くの情報を得ることができます。
けれど当時の私は知識も経験も少なく、この子にとって何が一番良いのか分からず悩んでいました。
増え続ける食欲
そんなある日、私は小さな変化に気付きました。
その子の食欲が明らかに増えていたのです。
以前よりたくさん食べるようになり、ご飯を置くと夢中になって食べています。
「ずいぶん食べるようになったな」
そう思いながら眺めていた時でした。
ふと、その子のお腹に目が留まったのです。
以前より少しふっくらして見えます。
最初は気のせいかと思いました。
けれど日を追うごとに、その丸みは少しずつ目立つようになっていったのです。
私は思わず、その子のお腹を見つめました。
「もしかして……」
頭の中に一つの考えが浮かびました。
妊娠しているのではないだろうか。
まだどこか幼さの残る、小柄な体の猫です。
もし本当にお腹に赤ちゃんがいるのだとしたら・・・
このまま外で出産することになるのだろうか。
無事に子猫たちは育つのだろうか?
私は急に落ち着かない気持ちになりました。
これまでのように「ご飯を食べに来る猫」ではなく、一つの命だけではない存在として見えるようになったからです。
この時から私は、その子のことが気になって仕方がなくなりました。
そして、この出会いが私に新たな決断を迫ることになるとは、まだ想像もしていなかったのです。
チャコ親子の物語は、第2話へ続きます。
次の記事では、しばらく姿を見せなかった母猫が、 かわいい子猫たちを連れて現れた日のことを綴っています。
チャコ保護シリーズ



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